ドイツ留学 ~成果のカケラ~
挫折の後には必ず成果が表れる。
語学学校の昇給試験の前日、クラスで会話の模擬試験をすることになった。
この頃にはすっかり打ち解けていたアリスとペアを組んで、所々で笑いを取りつつ、スムーズに終えることができた。
失敗で笑いを取ることもあったけれど、そこで下を向いてはいけない。
自信がない=全く理解していない、あるいは絶望するほど出来ないのだと思われてしまうからだ。
ヨーロッパの人々はこちらが思うほど失敗を気にしない。
間違えて「私は今日、美容師を買いにいくのよ」と発言したときも(frieren:凍らせる、という単語から、Friseur:美容師を冷蔵庫と勘違いした)、「ああ、ちょっとミスっちゃった★」とおどけてみせれば、それで笑いを取ってスルーしてもらえるのだから、ハッタリも大切だ(例え内心で冷や汗をかいていたとしても)。
次の日、筆記試験を終えてさあ会話の試験だと気合いを入れたら、カミラ女史が、
「あなた達四人はよく話せるから免除よ」と、二人の優等生の名前と一緒に私とアリスの名前を挙げた。
えっ、と嬉しい驚き。
当たり前だが、誰かの慰めよりも、自分で掴み取った成果のほうがずっと効果的だ。
ここで謙遜しないのが私なので、親に電話をかけて、鼻高々に自慢してみせた。
内弁慶なので、他人には自慢できないのである。