auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。テニスを辞めてジム通い始めました。就職決まったので次は修論です。

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文学的な土曜日~太宰治と国木田独歩~



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今度、大学の講義で国木田独歩の『武蔵野』を扱うので、喫茶店で読んでいたところ、「桜橋」というのが出てきました。中央線の武蔵境駅にあるという、小さな橋。そう遠くないし、ついでに太宰治が愛したという三鷹の鉄橋も見よう、ということで、今日は文学散歩とシャレこむことにしました。

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太宰治が愛した鉄橋。小さい頃、母とここに来たのがなぜか印象的で、そのまま私の心象風景の一つとなったのですが、つい最近までここに来ようとは思いませんでした。

ほぼ二十年ぶりに訪れたわけですが、背が伸びたぶん、景色も違って見えました。親子連れに写真を撮っている人、本好きそうな人・・・・・・。

空がよく見えるし、普段せわしなく乗っている電車を見下ろすのが、気持ちいい。大勢の人があの箱に乗って、運ばれていく。それを上から見ると、少しの間だけ、自分が日常と違う、別の場所に立っているような気分になれて、心に余裕が生まれるようです。鉄橋のそばを歩いている人も、のんびりと散歩を楽しんでいる風でした。

三鷹を一人で散策すると、ゆるやかに時間が止まっているように感じます。生活音はするのに、無音の空間を歩いているような気になります。過去の記憶を追体験しているような、どこか浮世離れした雰囲気。文豪が三鷹を愛したのが、わかるような気がします。自分の思索に、どっぷりと浸れます。

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中央駅の改札に来れば、いつもの日常生活がわっと駆け足で戻ってきます。そのギャップに少し驚いて、考え事を一時中断。

隣駅の武蔵境で降りて、北口を出て、駅前のスキップ商店街を抜けて、独歩通りを歩き、今度は国木田独歩の『武蔵野』に書かれた桜橋へ――。

桜吹雪の中、少しだけベンチに座って、読みかけの『武蔵野』を読みました。

『今より三年前の夏のことであった。自分は或友と市中の寓居を出てて三崎町の停車場から境まで乗り、其処で下りて北へ真直に四五丁ゆくと桜橋という小さな橋がある、それを渡ると一軒の掛茶屋がある・・・・・・』

独歩が友人と歩いたのは初夏。この近辺に住んでいる人を幸せだと思い、そんな場所を散策している自分たちのことも、幸せだと思う――。

今は彼が見た景色とはずいぶん変わってしまったのだろうけれど、『武蔵野』の中で独歩がツルゲーネフのロシアの自然描写に親近感を抱いたように、私もまたドイツの自然を思い出したのでした。

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by white12211122 | 2015-04-12 02:18 | お出かけ | Comments(0)