auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。テニスを辞めてジム通い始めました。就職決まったので次は修論です。

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妖怪文化 公開講演にて

ハッピーハロウィン!

というわけではないが、『東の妖怪 西のモンスター』という国際研究集会の公開講演を聴きに行ってきた。

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妖怪文化と言えば、小松和彦先生。

民俗学を専攻することになって何冊かそれらしい本を読んでいるうちに、小松和彦先生の本に巡り合った。一度その名前を知ると、著書が何冊もあり、既に妖怪文化の大部分を網羅されてしまったと気づくのに時間はかからなかった。私はそこで、修士論文で妖怪を扱うのは難しいようだと、一旦は諦めてしまった。

そんな憧れの先生が講演をされると聞いて、いそいそと出掛けていった。

先生によれば、妖怪文化の四つの伝承母体は四つあり、それ四つ、口承(民俗学)、書承(文学・歴史学)、芸能(芸能史・演劇学)、絵画(美術史)は相互に関係し影響を及ぼし合っているという。つまり、妖怪文化を学ぶにも色々な観点があり、大別してどこからアプローチするかをまずは決めなければならない。

先月とうとう豊島区の民俗学(都市民俗学)を諦めた私は、この相関図を見て無性に、「やっぱり妖怪文化史がやりたい!」と思った。むしろ最初の出発点はここだったはずだと、不思議に思うくらいだった。ただし、豊島区の民俗学での挫折は必要なものだったと今なら思える。

講演の後、図書館で「都市テクスト論」なるものに出会った。

都市と文学、と言えば前田愛氏かなあと言える程度には日文の空気にも慣れてきたところで、内容の大体は掴めたと思うのだが、これによって今まで細々と考えていたことが、結局は全部似たような方向を目指して流れていたような気がしてきた。

風景って人が創るものだよね、と私の先生がおっしゃっていた。そのとおりだと思う。

実際フィールドワークをしてみても、「風景」なんて見えて来なかった。場所の歴史とか名前の由来を集めて表にしてみても、「これじゃあ観光情報じゃないか……」と疑念が沸く始末。

でも、そりゃそうだ。歴史があっても、それだけじゃ風景は生まれない。物語性という芸術要素が加わって初めて、風景が生まれる、と私は思っている(森鴎外も、自然はそれだけでは芸術ではない、とか言ってたっけ)。

そうだとしたら、私のフィールドワークはやり方が非常にまずかった。まあそもそもフィールドワークに限らず、ノウハウがなさすぎるのだから、自分に出来そうな手法を確立していくしかない。

それじゃあ文学の中で描かれた場所と風景は、ということで三鷹と太宰治を研究しようかと思ったけれど、それもしっくりこない。太宰作品の中に出てくる三鷹の描写を集めても、他の学問的手法を知らない私が扱うのでは三鷹の文学散歩案内で終わってしまう。

いっそ具体的な地名に拘るのはやめて、文学作品における異空間という観点から、現実の都市イメージを抽出できないだろうか。それなら、怪異を扱えるし、妖怪も別の章で扱えそうだ。


昔、とある大学のオープンキャンパスで、「実は私、妖怪文化を研究しているんです」と壇上からマイクで言った女子大生のことを、五年以上経った今でも、未だに覚えている。人に怪訝そうな顔をされることを覚悟で、自分の興味をはっきりと表明したことが強烈な印象を与えたのだ。

小松和彦先生も、昔は妖怪なんてと怪訝そうな反応を返されたとおっしゃっていた。妖怪文化をやりたい、と言うのは少し言いづらいことだが、私も同じことがやりたいとワクワクしながら思った。そう思ったことを、思い出した。

そんなことを考えていたら、図書館にきてから三時間も経ってしまった。千と千尋の物悲しい曲が流れる。お帰りください、の合図だ。

今日は寒いから、そろそろ帰ろうか。そういえばハロウィンだったと、駅でコスプレ集団とすれ違ってようやく思い出した。盛り上がるのは九月だけで、ハロウィンの当日は何もやらない。

ある意味、いつも通りのハロウィンだった。



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by white12211122 | 2015-10-31 13:29 | お出かけ | Comments(0)