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auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。

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春画展(永青文庫)

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「日文科なら行っておくべきだよ!」

という日文生たちの言葉に釣られて、授業終わりの夕方六時頃に、明日観に行く予定だという日文科の友人と連れ立って永青文庫へと出かけた。

チケットには「世界が先に驚いた」と書かれていた。よくよく見ると、どうやら大英博物館で催された春画展の盛況がきっかけかと思われる。デンマークのコレクションも展示して、といったあたりで、留学時代のことを思い出した。デンマークの美術館で日本画展をやっていたのだが、年末休業ということで観ることができなかった。その後、大英博物館で春画展をやっているのを見かけたけれど、その頃はまだそこまで日本文化を愛していなかったから、無料の大英博物館でわざわざお金を払って春画なんて、と素通りしてしまった。

二度見逃したものを、結局日本で観ることになったということである。江戸を舞台にした作品を書いている最中だったから、何か逃れられないものを感じて、観念して行くことにした。

そういうわけで、春画がどのようなものか、あまりよくわかっていなかった。三枚目までは少し匂わす程度だったのが、四枚目で思わず「うわっ」と声をあげてしまった。純情ぶるつもりはないけれど、予想外の露骨さにうろたえてしまった。周囲にはカップル連れが多く、春画を前にイチャイチャしている。恋人と付き合って四年経ったが、こんな「恋愛上級者」には、まだまだなれそうにない。

一体どこを見ればいいのか。こんな時間帯でも大盛況で、一枚の絵の前に数分立っていなければならないほどだ。途中から着物の柄や背景が気になって、結果としては小説を書くのに必要な雰囲気だけは掴めたような気がするのだが、大勢の人と一緒になって私は一体何を見ているんだろうか・・・・・・と、変な気分になった。

ショップでは喜多川歌麿の『歌満くら』のポストカードを購入した。座敷で愛し合う男女の姿は、口づけを交わしているため顔が見えない。はだけた素肌と密着した様子、絵のなかに漂う情愛の雰囲気から、二人の関係が伝わってくる。春画としてはかなり控え目だったから、というのもあるけれど、二人だけの世界をそのまま閉じ込めたような一枚が一目見て気に入ったため、この一枚だけを買った。

実際に見てわかったのは、やはり春画は芸術だ、ということだ。背景は立派な風景画であるし、単に欲望を満たすために描かれたものではないと感じるものがある。愛の喜びとでも言うべき、温かい何か。時代を超えて通じるものを、肌で感じた展覧会だった。




by white12211122 | 2015-12-23 08:00 | 美術館巡り

by みっこ