auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。テニスを辞めてジム通い始めました。就職決まったので次は修論です。

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年末関西めぐり②京都:宇治


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去年の年末に、十年来の親友と京都の宇治に行って来ました。

大阪発で、大体一時間くらいです。最初は岡山辺りまで考えていたのですが、年末は観光向きではないということで断念して、宇治もかねてから気になっていた源氏物語ミュージアムが閉まっていたため、源氏物語・宇治十帖の舞台になった土地を、のんびりぶらぶらすることになりました。

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京都に溢れる観光客も宇治には足を運ばないようで、年末の静けさのなかを二人でのんびりと歩いていきました。

源氏物語で宇治が舞台となるのは、「宇治十帖」と呼ばれる「橋姫」から「夢浮橋」まで。特別源氏物語が好きなわけではないけれど、ドイツ文学科時代にいくつか履修していた日文科目のうちの一つが宇治十帖でした。

都から離れた物寂しい土地で、成就しない恋が交差する。そこは少し非日常的で、都とは違う一種特別な空間を形成している。

いつの間にかそんなイメージが頭のなかに出来上がっていて、年末で人気のない宇治はまさに私が思い描いていた情景にぴったりと重なりました。


 長い橋を渡って最初に向かったのは、平等院の対岸にある宇治神社と宇治上神社。上下二社で一体のこの神社が分離したのは明治時代だといいます。

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宇治神社といえば見返りうさぎです。正しい道へと導く神の使い。後ろを振り返りながら宇治神社の御祭神を先導したことからそう呼ばれています。宇治という地名も、菟道(うさぎみち)と書いて「うじ」と読んだことが由来となっているそうです。神社の眷属はどの動物も魅力的ですが、一見力のなさそうな小動物というところが新鮮です。

可愛いうさぎのおみくじを買って、今度は宇治上神社へと向かいました。二社で一体ですが、世界遺産に登録されているのは宇治上神社のみ。境内に湧き出ている桐原水は宇治七名水の一つであり、神社建築は日本最古だといいます。

ここでは水色、黄色、ピンク色と色とりどりのパステルカラーなうさぎみくじがそろっていたので、友人はピンクを、私は水色を買いました(色の選択も、十年前から変わっていません)。

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そして、最後にこちらも世界遺産の平等院へ。夕霧が源氏から相続した別荘のモデルは、平等院であるとされています。翼を広げた鳳凰に似ていることから平等院鳳凰堂と名付けられたこの寺院は、極楽浄土を模していると言われるほど。

実は中学一年生の頃に遠足で来ていたのですが、当時同じクラスで隣の席だった友人と十一年後に再び訪れるなんて、なんだか不思議です。

そんなことを言ったら、「また過去のこと言ってる。ほんまに思い出を大事にするなあ」なんて笑われそうなので、友人には言いませんでしたが。

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その後は大正時代に創業された「大正園」で閉店時間まで話し続けていましたが、四か月経った今では何を話したかほとんど覚えていません。相手は進級試験や国家試験の話を少し憂鬱そうに話し、私も迫り来る就職活動やら試験について話したのは確かですが、それは中学時代に定期考査へのちょっとした不安をべらべら話していたのと、何も変わっていないような気がします。

変化は大好きですが、あの頃から本当は何も変わっていないんだ、と感じるのも好きです。小学校六年生の夏に塾で出会った親友は、そんな「自分の核」みたいなものを再確認させてくれる数少ない友人です。

そんな友人と年末の静かな宇治を訪れたから、宇治十帖のイメージと合わさって、私の思う「宇治の風景」というのが固まって、記憶に残ることになったのかな、なんて考えたりもします。

ここからは風景論のようになってしまいますが、大学院の授業で、時折「風景の発見」というワードが近代文学との絡みで出されます。

風景とは人に見出されて初めて「風景」になるという考え方で、見る人の情感に彩られた情景――つまり、「内面化された風景」――その風景の発見から近代文学は出発したのだ、という論があります。

こんな話をすると一気に堅苦しくなりますが、ようは自分のなかに蓄積された記憶、知識、感情がその時の情感と合わさって、ただの景色から何か特別な意味を持つ「風景」を創り出していくのだとしたら、色んな人とこの先も特別な「風景」を創っていけたら素敵だな、と思ったのでした。

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by white12211122 | 2016-04-28 01:04 | お出かけ | Comments(0)