auf der Reise~旅の空~

white12211.exblog.jp

作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。テニスを辞めてジム通い始めました。就職決まったので次は修論です。

ブログトップ

京都 怪異めぐり①~洛中:二条城周辺~


京都は洛中、二条城の周辺で怪異めぐりをしてきました。

伝承が多く伝わる古の都ですが、この辺りは特に、平安の頃には<結界>の「内」と「外」の境界にあたる場所でしたから、興味深い話がたくさんあります。

まずは二条城前駅を出て、神泉苑へ。

c0330562_16233615.jpg


この「放生池」と呼ばれる神泉苑の池には、雨乞いに応じる龍神、「善女龍王」が祀られています。

空海と守敏の雨乞いの呪法比べが行われた折りに、守敏が国中の龍神を瓶に封じてしまったのですが、この善女龍王だけは免れていたので、空海が勧請して以来、神泉苑の池に棲むようになったのだそうです。

それから、これも伝承によると、神泉苑は源義経と静御前の出会いの場でもあるのだとか。

一つの場所に想像力を掻き立てられる逸話がいくつも残っていると、散策のしがいがあります。


この日は二条城の休城日だったので、お城は素通りです。

二条城自体よりも、今回のお目当ては朱雀門跡です。

c0330562_18250524.jpg


今では石碑が一つ残るだけの朱雀門ですが、平安の時代には公的な儀式が行われる象徴的な場所でした。

内裏が移動して荒れてしまってからは鬼が現れると噂され、朱雀門の鬼伝説が語られるようになるのですがーー。

そうした経緯を経ていながら、後世で「鬼と人との交わり」がいくつも語られているところが面白いと思います。

私が特に好きなのが、鬼から贈られたという笛の話です。

そこにいる<人でないもの>を退治しないって、特殊な物語じゃないでしょうか。そんな話ばかりではありませんし、鎌倉時代になると妖怪退治ものが流行りますが、日本の<人外>との関わりって他の国と比べても特殊だと思います。

怖い、というか、怪しいものに惹かれる性質でもあるんでしょうか?


朱雀門跡を確認して、お次は二条公園へ。この公園には鵺大明神社と鵺池があります。

c0330562_19413971.jpg


c0330562_19421811.jpg


鵺大明神社、という名称から立派な神社を想像していましたが、公園の端に鳥居と祠がひっそりと佇んでいました。

c0330562_20234955.jpg


そして、そのそばには神泉苑と比べて、ずっとこじんまりとした池が。

源頼政が鵺を退治したときに、矢じりを洗ったと伝えられている池です。

炎天下の公園ですから、園内には木陰のベンチで休憩している外国人観光客の女性が一人いるだけで、一見何の変哲もない池の写真を色んな角度から撮っている私をぼんやりと眺めているようでした。

二条城前駅で降りた観光客はこんな盆明けの真夏でも少なくなかったのに、あまりにもマニアックな怪異めぐりをしているうちに、気づけば人影がほとんどない、静かな道へと引き込まれていました。

ところで、鵺というのは妖怪のなかでも特に不思議な存在だと思っています。トラツグミという鳥の声が、闇夜を怖れる人々の想像によって不吉な妖怪へと変わったわけですが、この鵺というのは、ひたすら退治する対象とされているーーそんなイメージがあります。

鵺について詳しく調べたことがないので、鵺というのは何を象徴していて、昔の人々にとってどんな存在だったのか、鵺という架空の存在を生み出したのは人間のどんな心性を示しているのかーー興味は尽きません。

昔の人々にそんなつもりはなかったでしょうが、想像上の生き物やファンタジックな逸話は、人以外のもの、現実にありえないものを本気では信じなくなった後世の人間にとって、想像の幅を広げてくれる、過去の人間からの贈り物のようにも感じます。

[PR]
by white12211122 | 2016-08-17 21:00 | お出かけ | Comments(0)