auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。

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私が留学した年は暖冬で、十一月に少し雪が降ったくらいで、町中に雪が積もることはなかった。

寒がりなので助かったのだが、ヨーロッパの雪景色を写真に撮って見たかった。そんなことを言っていると、先週ティティ湖に言ったというゾナが、あそこには雪が積もっていたと教えてくれた。

語学学校のイベントで、近々ティティ湖行きの遠足があると聞いていたが、一人でゆっくりと散策したかったので、日曜日の昼にふらりと電車に乗って出かけた。フライブルクから三十分ほどで、保養地にたどり着いた。

前回来たのは十月の、曇り空の日だった。灰色の空に冷たい強風が吹いていて、人気も少なく陰気な雰囲気が漂っていた。それが、今日は眩しいくらい澄んだ青が広がっていて、半分凍った湖に雲と青空が映し出されて、空が二つあるように見えた。

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観光地なので、ショップも揃っている。ドイツでよく見かける不思議な顔の猫の置物は、気になりながらもついに買って帰らなかった。手に入らなかった物は気になるもので、またドイツに行くことがあれば買って帰ろうか、と思っている(日本でも帰国後に見かけたのだが、倍の値札がかかっていた)。

一通り店を見て回った後、森の方にも足を向けた。前回は寒かったので、森の方まで散策しようとは思いつかなかった。

少し積もった雪を踏みしめながら、ぼんやりと気の向くままに歩いていく。どこまで行っても、どこで引き返してもいい。人と過ごすのも楽しいが、定期的にこういう気ままな時間を持ちたくなる。

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ドイツに住み始めてから、自然の色彩の鮮やかさに目を奪われることが何度かあった。この日は木々を見て、こんな色が自然にあるのかと、当然のようなことに少し驚かされた。写真では捉えきれなかったが、小鳥の羽毛のような黄緑色が、色は薄いのに、陽の光を浴びて鮮やかに輝いていた。日本の色名なら鶸色が一番近いだろうか。

頭上には黒々とした木々と空のコントラストが鮮やかで、思わずカメラを構えていた。

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帰りの列車では、読みかけの日本語の本、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読み終えて、車窓からの景色をぼんやりと目で追った。

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by white12211122 | 2015-03-31 23:38 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)
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学生寮でフライブルクの何かについてネット検索をしていた時に、たまたまヒットしたのが「フライブルク子ども会」のサイトだった。私が検索していた内容とは全く関係のないものだったはずなのだが、とにかくその内容に惹かれた。

フライブルクに住む日本人の親が、子どもに日本語や日本文化を学ばせたい、と思ったことから始まったという。始まりは1999年。今も盛んに活動をしているようで、一緒に遊んだり教えたりする会員募集と書いてあった。

教員志望としては、是非覗いておきたい。思い切って連絡を取ると、すぐに返信がきた。色々と説明するので、カフェでお茶でも飲みましょうという内容で、私は語学学校が始まる前の午前中に、代表者のSさんとお会いすることになった。

授業も受け持ってみたかったのだが、授業はどれも午後からなので、それは叶わなかった。ただ、ベビーシッターやイベント参加、授業参観なら是非と言って頂けたため、早速授業に参加させてもらった。子どもたちはドイツ語のほうが話しやすいらしく、友達同士では流暢なドイツ語で話し合っていた。

ドイツで長く暮らしている日本人の親御さんたちのお話を聞いたり、子どもたちと「だるまさん転んだ」や折り紙、宝探しゲームなどで遊んだりと、とてもいい経験をさせてもらった。

フライブルクは大きな町ではないのだが、日本人のコミュニティーだけでも様々な種類がある。交流、教育、スポーツ、ボランティア。八ヶ月という留学期間では、一つのコミュニティーに長く所属することは出来なかったが、その代わり、短期間で色々な分野を覗いた。

ドイツの幼稚園で働き出した知り合いや、音楽活動に従事している友人たちに比べると、自分の専門性の低さに怯みそうになることもあったが、結果的に「色々なものを限界まで見たい」という望みは叶えたのだから、自分の選択は正しかったのだと思いたい。

(以下に、学問・勉強以外で、ドイツで試してみたものをリストアップした)

・オペラ鑑賞
・サッカー観戦
・声楽
・ボランティア
・空手・忍術・少林寺拳法
・ランニング
・スポーツジム(ピラティスその他)

ちなみに、ドイツで一番やりたかったのは「小説を書く」ことで、この時書いていたものが某小説大賞の最終選考まで残ったため、一応は自分の専門性も高めていたと言えるかもしれない。

二月というのは、そんな風に、少し焦ってもいた時期だった。

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(一緒に遊んでいた子から絵をもらった)
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by white12211122 | 2015-03-31 19:14 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)

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二月半ばの土曜日に、同じクラスの友人たちとフライブルク近郊の小さな町、ヴァルドキルヒ(Waldkirch)に出かけた。

スイスのアネラ、韓国のソヴォン、アゼルバイジャンのゾナ。途中からこの町に住んでいる語学学校の担任クリスティアーネに町を案内してもらい、山の上にある古城跡も散策した。

この町ではファスナハト(ファスネットとも言う)という道化師の祭り(カーニバル)が行われる。そのためか、町のいたるところで道化師の像を見かけた。

この町のファスナハトは、百五十年も続いている。一直線に伸びた広場と立ち並ぶ色とりどりの建物を見ていると、可愛らしいドールハウスに迷い込んだような気になって、そんなに古いとは思わなかった。ただ、ドイツの閑散とした小さな町に共通して言えることだが、「時間が止まったような」雰囲気が流れている。カーニバルなどの楽しいイベント、非日常的な瞬間も確かにあるのだが、平穏で変わらない日々がずっと続いていきそうな気配が漂っている。週末は特に人が出歩いていないから、余計にそんな風に思う。

歩いていると、早くも道化師の仮装をした親子と出会った。こんにちは、と挨拶すると、にこにこと笑って、相手も挨拶を返してくれた。もうすぐカーニバルなのよ、とお母さんが丁寧に説明してくれる。小さな女の子とお母さんは、黄色と青の派手な衣装を着て、手には仮面を持っていた。全く人気のない町で初めて見かけた住人がその親子だったので、この町の浮世離れした印象がますます強くなった。記念に一緒に写ってもらえませんかと聞くと、喜んで写真撮影に応じてくれた。良い週末を、と言い合って、再び別々の方向へと歩き出す。

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なんとか山に登り、町を一望する古城跡を写真に収めた。しばらく散策して、再び下りる。行きと違う道、というより道なき道を、クリスティアーネが「Abenteuer!(冒険よ!)」と陽気に笑って進むので、急な傾斜や足場の悪い木々の間を一列に並んで歩き、最後は通行人に驚かれながら、結構な高さのある段差からジャンプするという酔狂を楽しんだ。

その後、クリスティアーネの家にお邪魔させてもらい、家族を紹介してもらった。ドイツ家庭に典型的な、強い奥様とのんびりした旦那様といった様子で、ご主人の手作りケーキをご馳走になった。このご主人はアウグスティーナ美術館で働いているため、中世の美術や私の卒論の話ですぐに打ち解けることができた。

人間関係で煩わされたくなかったため、あえてWG(共同住宅)を選ばなかったのだが、ドイツ家庭に触れる機会が少なかったことを、後悔はしないものの、少し残念に思った。

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by white12211122 | 2015-03-31 12:00 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)
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主要都市の観光地よりも、身近な場所で何か発見したいと思うようになってから、フライブルクの町を、九月とはまた違った目でゆっくりと見て回るようになった。店を一軒一軒見て回ったり、奇妙な銅像を写真に撮ってみたり。

ドイツに住んでいていいなと思ったのが、自然に囲まれた生活を送れることだった。少し歩けば森が広がっているし、高層ビルに遮られていない空の下だと、顔が自然と上を向く。この頃、学生寮から近所の湖までよくランニングをしていたのだが、走るたびに、近くにこんな湖があることを「恵まれているなあ」と感じていた。

フライブルクにはいくつか湖がある。私が知っている湖は二つ。一つは学生寮の近く、エルゼッサー通りにあるモースヴァイアー(Moosweiher)という湖。

もう一つは語学学校までの途中、パドゥアレーという駅の近くにあるゼーパーク(Paduaallee,Seepark)。

ここにはオクトーバーフェストのイベントで来たきりだった。何故か日本家屋のある、不思議な湖。

おそらく、ヨーロッパ熱が落ち着いたのだろう。観光もいいけれど、これを「日常」と呼べることのほうがもっと価値のあることだと、留学も半分を超えた辺りで、ようやく思えるようになったのだった。


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by white12211122 | 2015-03-31 07:30 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)

趣味の定義?

先日、塾講のバイトをしている時に、高校進学の生徒が趣味について尋ねてきました。面接で聞かれるそうで、私の前にも数人に質問しているのが聞こえていたのですが、ある先生が趣味について次のように言ったのが印象的でした。

趣味って、ある程度の頻度とレベルが必要だよね、と。

その後で生徒に趣味を聞かれたので、迷いました。

読書では趣味としてありきたりだし、私の場合は、創作や読書を趣味で括りたくないという、ささやかなプライドがあります。

その時は手芸と写真撮影と答えたのですが、前者は下手の横好きで、せいぜい手作りキットを買えばそれなりに出来るといった程度。作業が細かいと、作っている最中に飽きて放置してしまうこともあるので、答えた後で、趣味とは言えないような気がしてきました。写真は被写体がいいので、下手ではないが上手くもない、と言ったところです。

「ある程度上手くなくちゃいけない」と聞いて、なるほどと思いましたが、そう考えると今度は純粋に楽しめなくなってきました。

趣味と技能は違うとも言われますし、極端な話、その人がリラックスして楽しめるなら、例えば昼寝やぼーっとすることでも趣味と言える。

じゃあ趣味の定義ってなんだろう、とここ最近ふとした瞬間に考えるようになっていたのですが、多分「集中型」と「分散型」の違いなんだろうな、と思い至りました。集中型は上達度が高くて、分散型は多趣味と言われる。どっちもありだな、と納得すると、それまでは中途半端に思えていたことをいいように考えるようになりました。

手芸、模型、パズル、写真、ブログ、料理教室、英会話教室、テニス、朗読・・・・・・無趣味なのを焦って色々試してきましたが、今のところ「定期的に」「楽しんで」やっているのはこのブログなので、しばらくはブログを書くことが趣味、ということにしておきます。

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by white12211122 | 2015-03-31 04:17 | Comments(0)

井の頭公園の桜

お気に入りの桜ショット&春のお出かけショット!
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バイト帰りにふらりと井の頭公園に立ち寄ってみると、まだ開花したばかりといった様子でしたが、早くも桜の写真を撮っている人、桜を楽しみながら散策している人で賑わっていました。

昔この近辺に四年ほど住んで、大阪で十年、大学進学を機に再びこの近くに戻ってきて早五年が過ぎましたが、実はこの時期に井の頭公園に来るのは今日が初めてでした。

夜桜を一回見たことがありましたが、大学生の三月~四月と言えば、部活の先輩方の卒業イベントに春合宿、新歓、塾講バイトの春期講習に友人との旅行が続き、授業が始まって、気づけば桜はもう散っていた・・・・・・というのを何回も繰り返し、去年ドイツで春を迎えた時は、来年こそはゆっくり花見をしよう、と決めていたのでした。

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戸田公園や、前から気になっていた、六義園のしだれ桜を見に行こうと思っています。

つい最近、歴史秘話ヒストリアの再放送で「桜の木に恋して~日本人と桜の物語~」を観て、梶井基次郎の『櫻の樹の下には』を思い出しました。「櫻の樹の下には屍体が埋まつてゐる!」という有名な冒頭の一文です。櫻があんなに美しく咲くのは、死体の血を吸っているからだ、という話。桜の儚さの裏にある、妖しい魅力が伝わってくる言葉だと思います。

他にも、坂口安吾の『桜の森の満開の下』、渡辺淳一の『桜の木の下で』などがありますが、こちらはまだ読んだことがありません。

桜と日本文学というテーマ、きっとありがちなんでしょうけど、真剣に調べてみたくなりました。

ちなみに、小説でも載せたのですが、小倉百人一首と山家集の「桜の歌」が好きです。

もろともにあはれと思へ山桜 はなよりほかに しるひともなし
(私があなたを愛おしいと思うように、あなたも私を愛おしいと思っておくれ、山桜よ。花より他に、私の心を知る人もいないのだから)小倉百人一首

ねがはくは花のもとにて春死なむ そのきさらぎの 望月の頃
(願うことなら、桜の木のもと、春に死にたいものだ。そう、あの二月の満月のころに)山家集


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(花より団子――とまでは言いませんが、井の頭公園のお団子、すごく美味しいです)





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by white12211122 | 2015-03-28 21:30 | お出かけ | Comments(0)
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九月から始めたこのブログも、本日1000人の訪問者数に到達致しました(PCのみ。携帯の方はプレミアム会員ではないのでわかりません)。

不馴れなエッセー調で、しかも自己満足な留学記録なので、定期的に読んで下さっている方がいるのかは不明ですが、こうした数値を見ると励みになります。留学日記も手書きだと全く進まないので、これからもご愛読よろしくお願いします。

さて、土曜日から六日間バイトも何もないという素晴らしい連休に入ったので、今日は吉祥寺を大正通りと中道通りの辺りに絞って散策しました。

珍しいカエルグッズのお店。

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和食器のお店では可愛い箸置きを見つけたので購入しました。

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西洋館風のインテリア雑貨店。中はシャンデリアで飾られ、螺旋風の階段で二階に上がると、一階と同様にイギリス・フランス風のインテリアが並んでいます。

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日時計やシーリンググッズ、羽ペンなど、本場の高級商品が並ぶお店など、この通りは一風変わった専門店が目立ちます。

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その隣にはイギリス雑貨専門店が。

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はらドーナツで「さくら」「はちみつレモン」「さとうきび」を購入し、武蔵野文庫で珈琲とレモンケーキを頂きながら、柳田国男の本を読み、帰宅しました。

休日は人で混む吉祥寺ですが、それでもどこかのんびりとした空気が漂っているので、散策していると心に余裕が生まれるようです。

吉祥寺の中でも、パルコやアトレ、キラリナといったどこにでもある商業施設よりも、大正通りや中道通りのほうが吉祥寺らしい良さがあります。一味違った、それぞれの好みを追求する店が長い通りに並んでいて、一店ごとに独特の世界観が楽しめるのです。昔ながらの喫茶店、アート性を求める雑貨店。

チェーン店がこれ以上増えなければいいのに、と思いながら、夕暮れになって生活感も漂い始めたところで、帰路につきました。

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by white12211122 | 2015-03-24 20:06 | お出かけ | Comments(0)
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リスニング対策をどうしようかと思っていた時に、フライブルクのMüllerという百貨店で日本のアニメDVDの棚を見つけた。セーラームーンや犬夜叉など、懐かしいアニメの他に、最新らしいアニメもあった。

ジブリ作品はほぼ全種類と言っていいほど揃っている。これはリスニングの練習に良さそうだと思い、試しに一番好きな『千と千尋の神隠し(ドイツ語版はCHIHIROs REISE INS ZAUBERLAND、千尋の不思議な国への旅となって、少しニュアンスが変わる)』を買ってみた。日本で買うと三千円以上するドイツ語版だが、ドイツでは五百円以下という安さで手に入る。

家に帰って早速聴いてみると、湯婆婆以外は非常に聴きやすく、いい訓練になった。一つ観ると、他も試したくなってくる。

次に購入したのは『魔女の宅急便(KIKI's kleiner Lieferservice、キキの小さな配達サービス)』、『崖の上のポニョ(PONYO DAS GROSSE ABENTEUER AM MEER、ポニョ~海の大冒険~)』、『借りぐらしのアリエッティ(ARRIETTY DIE WUNDERSAME WELT DER BORGER、アリテッティ~借り主の不思議な世界~)』。

どれもタイトルがニュアンス的に違うような、と首をかしげたくなるが、ポニョまでは観た。アリエッティは途中で観る時間がなくなってきたのと、内容があまり面白くなかったので放置。他は楽しみながらドイツ語の聞き取り訓練ができた。

またドイツに行くことがあれば、他の懐かしアニメDVDも借りてみたいと思う。ジブリなら、映画館で観た『思い出のマーニー』が非常に良かったので、ドイツアマゾンで購入してもいいかもしれない(ちなみに、ドイツアマゾンで購入する場合はアカウント登録が非常に面倒なので、アメリカアマゾンでアカウントを作成してから、そのアカウントでログインすることをお勧めする)。




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by white12211122 | 2015-03-23 21:27 | ドイツ留学の思い出 | Comments(2)
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主要都市を五つ程見て周ったところで、私はようやく、それが誰にでも出来る観光旅行だということに気がついた。せっかく住んでいるのだから、観光客が来そうにない場所を訪れるべきではないか。

私は以前訪れたブドウ畑の村を思い出した。住宅と教会しかない、小さな閑散とした村。あそこには、普段の生活圏では絶対に出会うことのない人々の生活感と固有の雰囲気が濃厚に漂っていた。

あの村の静けさは、絵画に似ているのかもしれない。小さな頃、絵の中に入ってみたいと空想したことがあったけれど、人気のない閑散とした村を訪れるのは、その空想に近いような気がする。

語学学校の帰り道、いつものように中央駅まで歩いていると、眼下に見慣れた赤い列車が停まっていた。ふらっとこれに乗ったら、定期券内にどのような村があるのだろう。

もう出発してしまわないだろうかとオロオロしながら、階段を下りる。行ってしまったら諦めようと思ったが、列車はまだ停まったままだった。心も決まらないうちに、列車に乗ってみた。

目的もなくこの赤い列車に乗るのは初めてだった。路面電車とはまた違った、鉄道から見る風景がゆっくりと後ろに流れていく。

心惹かれる風景に出会ったら下車しよう。十五分ほど窓の外を眺めていると、なかなか良さそうな教会を見つけた。

ここにしよう、と降りて、ほとんど人気のない村を歩いた。教会が一つ、役所が一つ、カフェが一つ。他には住宅以外に何もなかった。マーケットすらない。

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Norsingenという地名は聞いたことがなかった。帰ってからネットで調べても、この地についての情報は見つからなかった。別に観光がしたかったわけではないので構わないのだが、もし見過ごしていたら嫌なので、その辺を通りかかった子ども連れの女性に声をかけた。

予想通り、特に逸話がのこっているわけではなく、教会以外は何もないのだと言って、その女性は笑った。

あのワイン畑のある村ほどの雰囲気はなかったが、この小さな村もまた、記憶の片隅に残った。

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by white12211122 | 2015-03-23 03:02 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)

本日卒業式にて


今日は大学の卒業式でした。

正直、留学で卒業が一年遅れた上に、大学院進学ということで、あまり感慨もなく当日を迎えました。

別れはほとんどなくて、部活という居場所も残っている。

学科自体にはそこまで思い入れもないので、懇親会には数分顔を出しただけで、随分あっさりと別れを済ませました。

卒業式と言えば、袴を着るのが楽しみだというくらいのものでした。

ただ、学位授与式で最後の成績表と卒業証書をもらった時、何かが自分の中で終わったように感じました。

大学時代の集大成である卒論が、研究不足の為に不完全だった、と改めて実感したからなのかもしれません。卒論で優という評価はもらえましたが、優秀賞には選ばれませんでした。それは口頭試問で指摘された時からわかっていたので、自分が選ばれなかったということよりも、自分のこれからの課題に気づいたことで、一つの時代、自分の青年期が終わったと感じたのです。

それから、私はどうやら別れに疎いようで、その場では別れを実感できず、実感するのはいつも後になってからなのです。だから、特に感慨もなく別れて、随分経ってから寂しくなったり、きちんと別れを惜しまなかったことを後悔したりする。

幼さというのは、人との別れ方に表れるものかもしれない、と思いました。


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by white12211122 | 2015-03-21 00:28 | Comments(0)