2014年 09月 30日
ドイツ留学~黒い森のさくらんぼケーキ~
留学四日目。
趣味で書いていたアメブロの某ケーキブログに熱を入れていた私は、フライブルクのカフェを全て食べ尽くすことを目標としていた。
ただ、これはほとんど義務的な目標だった。私はカフェの外観と内装、ケーキの写真を撮るのが好きであって、甘い食べ物はあまり好きじゃない。自分の満足のいくブログを作るために、必要なことだった。
少しブログ論を挟むことになるが、人は他人の日常に興味なんてない、と思っていたし、いいブログというのは自分の個人的な情報はなるべく抑えて、有益なことを発信するものだと思っていたから、わりときまじめなスイーツレポを書いていた。
自分が好きで書くというよりも、たくさんの人に見られる有益な情報ブログを「作る」ことに楽しみを見出していた時期で、一時は、一日に訪問者が四百人を超えることもあった。
そんなわけで、フライブルクのカフェに関しては、来る前からすでに色々と調べていた。
フライブルクで一番美味しいケーキは、「Gmeiner」である。その情報をもとに、午前中から市内観光へと繰り出した。
お店のディスプレイに並ぶ、可愛らしいケーキ群。
隣に置かれた小さなエスプレッソのカップがネズミの食器に見えてくるほど、運ばれてきたケーキは大きかった。しかも、生クリームがたっぷり。甘党でもなければ、とても食べられない――と、一見して思った。
このケーキの名前は、Schwarzwaerderkirschtorte(シュワルツヴェルダーキルシュトルテ)。
シュワルツが黒、ヴェルダーが森、キルシュがさくらんぼ、トルテがケーキという意味で、訳すと「黒い森のさくらんぼケーキ」になる。
フライブルクは黒い森(シュワルツヴァルド)にある、まさに森の中の街なのだ。
日本人女性にはかなり多い量だけれど、生クリームはそんなに濃くないし、食べようと思えば全部食べられる量だった。
それに、日本の多彩なケーキとも、細やかな味のグラデーションが光る本場フランスのケーキとも違う、素朴な美味しさがすっかり気に入って、義務的な作業が「美味しいケーキを見つけること」という目的に少しずつ移っていったのも、これ以降のことだった。
市内観光をして帰った私は早速ブログにこのケーキの記事を載せ、日記の達成したこと欄に、「ケーキを食べた」と書き込んだ。
これだって、私には立派な目的なのだから。
by white12211122
| 2014-09-30 18:15
| ドイツ留学の思い出