ドイツ留学~空が一番近く見えた日~
曇り空が続いたかと思うと、ある日、ふと思い出したように、空が青く澄み渡っていた。
あまりの美しさに、呆然と立ち尽くした。いつもより空を近くに感じた。
フライブルクは森の中にあって標高が高いので、こんな風に感じるのは錯覚ではなかった。
高層ビルといった遮るもののない空はこんなにも広々として見えるのか、と驚き、近くに見える雲と教会の取り合わせは「天国があるとしたらこんな風景かもしれない」と、私をふわふわした気分にさせた。
ぼんやりと立ち尽くし、橋を何度も行き来しているのは私だけだった。
みんな、こんな風景には慣れているのだろう。
空が近くに見えて、とても天気が良かった、ただそれだけのことなのだけれど、この一日のことは妙に印象に残っている。
空が一番澄んでいた日。
雲が近くに見えた日。
また今日のような天気の日が来るだろうか、と期待したけれど、私が滞在していた九月から翌年の五月までの間に、この時見た空はこの一回限りで、二度見ることはできなかった。
それだけに、一層この空をもう一度見たくてたまらない。
写真では伝えきれないのが残念だ。