ドイツ留学 ~小さな町のブドウ畑~

ある日の授業後、この頃よく話すようになっていた沖縄出身のNと、シュタウフェンという町のブドウ畑を見に行こうという話になった。
このまま家に帰るのがもったいないくらいのいい日射しで、それじゃあ行こうか、と中央駅から電車に飛び乗った。
間違えてスイスのバーゼル行きの特急に乗ってしまったというハプニングのため、シュタウフェンよりもさらにスイスよりの、名前も知らない小さな町に降り立った。


この絵を描いた子どもたちが、少し先の曲がり角で遊んでいた。
小さな町の路地裏に突然現れた外国人に驚くこともなく、元気よくこんにちは、と挨拶をして、子どもたちはどこかへと駆けていった。
小さな町の路地裏は、地面の落書きだけが残されて、再び静かになった。
まるで、ドールハウスや箱庭の中にでも迷い混んだような気分だった。
急な坂道を登ると、一面にワイン畑が広がっていた。
目的地とは違うけれど、ハプニングのおかげでいい景色を見ることができた。




それまで見たこともなかった景色に感嘆し、写真を撮って、残っていたブドウをちょっとつまみ食いしてから、最初の目的地であったシュタウフェンに向かった。
