ドイツ留学 ~バーゼルの秋祭りと美術館~
スイス・バーゼルの秋祭りHerbst Messeは五百年以上続く伝統的なイベントで、雨にも関わらず大勢の人で賑わっていた。
屋台の種類も豊富で、大がかりな遊具がずらりと並ぶ。
既にフライブルクの秋祭りに行っていたので、屋台はもう見慣れた物であり、一通り見てしまうと満足した。
しかもこの日はやけに寒くて、体の芯から凍りつくような冷気だし、カフェに入るには物価が高すぎる。
そこで、前から人に勧められていたバーゼル美術館に足を運ぶことにした。
日本の美術館が貧相に思えるほど、ヨーロッパの美術館は広いし大きい。
大きければいいという訳ではないけれど、建物すらも美術品の一つに見える。
この時やっていたのが、ピエト・モンドリアン展だった。
モンドリアンといえば、名前は知らなくとも、直線と赤、青、黄色の三原色を用いた抽象画をどこかで見たことがあるだろう。
私の家の引き出しに、ずいぶん前に祖母と母に連れられて、京都の国立美術館に行った時に買ってもらった絵葉書が何枚かしまってあるのだが、そのうちの一枚がモンドリアンの絵だった。
小学校三年生くらいの時で、この絵葉書が欲しい、と言ったのをなんとなく覚えている。
人の印象に残りやすい絵なのかもしれない。
話は逸れるが、祖母が絵画教室の先生を、曾祖父が画家であったので、子どもにしては割りと頻繁に絵に触れる機会が多かった。
だからと言って絵の知識が豊富かと言われれば全くそんなことはないのだが、今でも美術館に行くのは、たまにやる趣味のようになっている。
留学中はクリスマスマーケットと並んで結構な数の美術館を訪れたので、そのうちリストでも作成しようかと思う。
モンドリアンの話に戻るが、カンディンスキーが「熱い抽象」なら、モンドリアンは「冷たい抽象」と言われている。
確かに、適当な直線と色の組合せなどではなく、余計な感情を抑えるようなストイックさのようなものを感じる作品だ。
他にも様々な宗教画や抽象画を観たはずなのだが、今はもうモンドリアンの絵しか思い出せない。