ウィーン滞在記①オペラ座…ウィーン大学
まず初めに訪れたのはシェーンブルン宮殿だったが、二時間程待たなければならなかったため、まあ宮殿はもういいか、とクリスマスマーケットだけを楽しんで、その場を後にした。
待ち合わせの時間までは三時間しかない。移動時間も考えて、待ち合わせ場所のオペラ座へ向かうことにした。
オペラ座では昼間に内部見学ツアーがあり、四十分でじっくり観て回ることができる。
日本語のガイドは一時間後だったので、留学先なのだからとドイツ語を選んだ。こちらは十数分後にツアーが始まった。
オペラの授業を取っていたおかげで(ほとんど寝ていたけれど)、作品関連の説明がよくわかった。特に『魔笛』の説明が多かったと記憶している。
その後、文通相手のシモーネと無事に合流でき、彼女の案内でケルントナー通りを歩いて、シュテファン寺院下のマーケットを覗いた。
ドイツにもこのような通りのある街がないわけではないが、白を基調とした精巧なチェスを思わせる細工と、その優美さといったものは感じない。
ウィーンと言えばカフェということで、まずは改めてお互いの自己紹介をすべく、カフェ「ハイナー」でお茶をすることにした。
この会話は全てドイツ語だったが、二泊三日の間に私のボキャブラリーが尽きてくると、日本語で尋ねて教えてもらうこともあった。
オーストリアのドイツ語はドイツ人の話し方とは異なり、柔らかさがある。フランスのアルザス地方出身の友人と雰囲気が似通っている、と思ったのは、単に彼女たちの性格が似ているのか、話し方が似ているのかわからなかったが、フランス的な響きを聞き取ったのは確かだ。
簡単な質問を何度も聞き返すこともあったが、理解すると「なんだ、それを言っていたのか」とすっきりする程度のものだった。
ドイツでもよく見かける「モーツァルト」が棚いっぱいに置かれていて、思わず写真を取っていた。
帰宅途中、宮殿のような建物を見つけて、あれは何なのと質問すると、「銀行だよ」と予想外の返答。
このテーマパークにありそうな宮殿が銀行だなんて、とカルチャーショックを受けた瞬間だった。
ウィーン大学の近くでやっているマーケットを見るついでに、夜のウィーン大学を見学させてもらった。
後日、大学内の写真を友人に見せると、そろって「こんなにいい大学にいるのに、どうして日本の大学に来たいんだろう?」と首を傾げた。私も同感だが、この大学に匹敵する魅力が日本にはあるのだ、と思いたい。
こうして一日目が終わり、シモーネの手料理を頂いた後、二人で面白い動画を観て笑い合ったり、お互いの好きな曲を紹介し合ったりした。