auf der Reise~旅の空~

white12211.exblog.jp

作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。

ブログトップ

ウィーン滞在記③市庁舎…中央墓地

c0330562_10511673.jpg


二日目の午後、授業を終えたシモーネと市庁舎前で落ち合った。午前中の観光はどうだったとか、そんな話をしながら、ここでもマーケットの屋台を覗く。

あまり見かけないクッキー型が、たくさん並んでいた。ドイツの民族衣装ディアンドルの型、塔の型、ブレッツェルの型……四つ程購入しただろうか。

今まで少しずつ集めていたクッキー型も、ドイツで手に入れた物と合わせると、さすがにもういいだろうという所まできていた。

ここで満足したため、これ以降、クッキー型は買っていない。ウィーンのクリスマスマーケットは、コレクション欲を大いに刺激された場所として記憶に残った。

c0330562_21080197.jpeg
c0330562_10520139.jpg
国会議事堂前では、旗を掲げてデモ行進している人々がいた。それを横目に他の観光客に混じって写真を撮り、昼はケバブで昼食と一緒に白ワインを飲んだ。

c0330562_10522905.jpg
c0330562_21171312.jpeg
c0330562_21173956.jpeg
その後、私の希望で猫カフェへと向かった。一時期は猫カフェ巡りまでした私としては、「ウィーンの猫カフェ」というものに、どうしても行っておきたかったのだ。

ウィーンで猫カフェを開く人とはどのような人かと思えば、そこにいたのは日本人のオーナーだった。こういうコンセプト喫茶というのは、やはり日本人の思考らしい、と妙に納得した。

私は適当にジュースを注文して、猫の紹介文を読まずに、真っ先に黒猫へと手を伸ばした。In diesem Fall beißt oder kratzt sie!(噛んだり引っ掻いたりする時があります!)と書かれているほうに手を伸ばしてしまったせいで、すぐに引っ掻かれてしまった。

綺麗な三本線の引っ掻き傷。お店の人に可愛らしい黒猫の絆創膏を頂き、ウィーンの猫カフェで猫に引っ掻かれるというマヌケな思い出を作って、一時間程でそのカフェを出た。猫カフェは触らずに見て楽しむ場所なのだろう。戯れられなかったのは残念だが、マイナーな観光が出来て良かったと思う。

c0330562_21193044.jpeg
遠くの雲が朱色に染まる頃、市立公園を目指して歩いていると、天使の羽のような形をした雲を見つけた。

私はほとんど反射的に、デジカメに手を伸ばしていた。なんでも写真に撮りたがる日本人だ、と思われただろうが、シモーネは可憐な笑みを浮かべて、確かに綺麗な雲だと、一緒になって立ち止まった。

日本では空なんて少しも気にしなかったのに、留学してから空を見上げることが多くなった。空を遮る物が少ないというのもあるだろうが、旅先で見る空というのは、その時にしか見られない特別な物のように思える。天候や時間帯だけでなく、もしかしたらその時の気分によっても印象は変わるかもしれない。そういうものを、いちいち記憶していたかった。

c0330562_21200594.jpeg
多くの音楽家の像が点在する市立公園には、金色のシュトラウス像がある。その写真を撮りに来たのだが、特別音楽家に興味があるわけではなかった。ただ、留学先で知り合う日本人というのがほとんど音楽留学で来ている人たちなので、そういう人達にとっては面白いのかもしれない、と興味を持ったのだった。

私は友人が好きな物に影響されることが多い。中学時代、音楽の先生に「才能がない!」と言われ、また音楽を志す友人が周囲にいなかった私にとって、音楽の留学生に囲まれて、大学の受験事情などの話を聞くのはひどく新鮮なことで、不思議な気分になった。

そういう出会いがなければ、ここに来ようと思わなかったかもしれない。シュトラウスの像を写真に撮りながら、考えていたのはピアノで留学しているMのことだった。

c0330562_21202336.jpeg
c0330562_21205706.jpeg

十二月の夕暮れ時にも関わらず、公園内では散歩をしている人の姿がちらほらとあった。冬の公園は少し淋しいが、冷たい風が心地よかった。水辺には水鳥が寄り添うように泳いでいた。

次はどこに行く、と尋ねられて、ガイドブックをパラパラとめくってみたが、夕方から行くような場所を思いつかなかった。あまりカフェにばかり行くのも申し訳ないし、そもそもウィーンのカフェを網羅できるとは思っていなかった。無謀というか、達成する頃には糖尿病になりそうだ。チョコレート専門店にも連れて行ってもらったし、カフェには明日も行く。

ウィーンと言えばホイリゲ(新酒のワインが飲める居酒屋)地帯というものがあるが、残念ながらそれは十一月なので時期が違う。

迷いあぐねていると、私のガイドブックを覗き込んだシモーネが、それじゃあ中央墓地に行こう、と提案してくれた。

夜に、異国の墓地を訪れる。暗闇と十字架をイメージしたが、怖いとは思わなかった。ホラー映画は苦手だが、お化け屋敷の類は全く怖くない。小説の資料になりそうだと思ったので、喜んで連れて行ってもらった。

c0330562_19033308.jpg
音楽家達の眠る墓は第二門から入り、長い並木道をまっすぐ進んだ左側の、名誉区と言われる32Aにある。

中央墓地に入った直後はまだ明るかったのだが、歩いているうちに闇が濃くなって、墨を流し込んだような夜空の下、携帯の小さな明かりを頼りに、音楽家達の墓を見て回るというおかしな観光を体験した。

そのわずかな明かりも役に立たなくなり、誰のお墓を見たのかもわからないまま、少し離れた場所にモスクのような建物を見つけた。

しばらく散策した後、夜の西洋墓地を見て満足したので、ここで今日の、そしてシモーネとの最後の観光を切り上げることにした。

この頃にはもう私のドイツ語ボキャブラリーもほとんど尽きていたから、わからない文章は日本語で言って、ドイツ語でどう言うのかを教えてもらっていた。彼女のほうからは特に質問がなかったので、実はかなり日本語に堪能だったのだろう。

シモーネはその後、大阪へ留学することが決まった。何故こんなにも美しいウィーンを離れて大阪に、と不思議に思うが、私がウィーンを素晴らしいと思ったように、彼女が私の育った大阪を気に入ってくれることを、願っている。




[PR]
by white12211122 | 2015-01-21 18:16 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)