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auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。

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ロンドン巡礼記⑦アビー・ロードとナショナルギャラリー


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ロンドンの町並みには曇天と雨がよく似合う。そう思うのは、シャーロック・ホームズで読んだ雨の日の描写が印象に残っているからかもしれない。デンマークの時は曇り空にがっかりしていたのだけれど、ロンドンでは雨でも写真を撮るのを楽しめる。

四日目の朝、地図に書かれた「アビー・ロード」の文字を見つけて、朝食もそこそこに宿を出た。

アビー・ロードと言えば、ビートルズのCDジャケットの写真でおなじみの場所だ。アルバム一枚好きなだけのにわかファンではあるが、巡礼旅としては是非とも写真に撮っておきたかった。

電車でボンズストリートまで行って、そこで今では完全に乗りこなせるようになった赤バスに乗り換える。ただその前に、隣の駅オックスフォード・サーカスでリバティというデパートに立ち寄った。

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アルザス地方を思わせる木組みの建物は、デパートには見えない。小さなドールハウスのようだと思って入ってみると、中もやはりそのような間取りになっていた。特に欲しい物は見つからなかったのだが、黒電話などのレトロなオシャレアイテムや独特のデザインは、全て統一して家に揃えれば面白いだろうとは思った。イギリス風にするか、ドイツ風にするか。欲張って両方置くと、統一性がなくなってちぐはぐな雰囲気になってしまうだろうから、迷うところだ。

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リバティを出て、赤バスへ。ちょうど二階席の一番前が空いていたので、その特等席から休日のロンドン市内を見下ろす形でドライブを楽しんだ。

と、そこへ、隣の席に二人組の女性が座った。二人が話しているのはドイツ語で、しかも話題にしているのはビートルズのことだった。ドイツ語を始めた時は、英語はなんて優しい言語だろうと思っていたのが、この時にはもう懐かしい言葉になっていた。
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アビー・ロードでやはり女性二人が降りて、ある建物の写真を撮りだした。こんな雨の日の午前中だというのに、しかも何もないこの道には一定数の人々がいて、やはりこの柵の向こうにある何の変哲もない建物をしきりにカメラに収めている。

思い切って、ドイツ人女性にこれは何ですかと尋ねた。女性は「あなたドイツ語話せるの」と少し嬉しそうに笑って、ここはビートルズが収録の時に使っていたスタジオなのだと教えてくれた。入ることは出来ないので、ここから写真を撮ることしかできないが、それで十分だ。

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皆がアビー・ロードの写真を撮るため、シャッターチャンスを逃すまいと、カメラを構えていた。普通の道路なので、普通に車が走っている。車が途切れたその瞬間がチャンスなのだが、撮りたいのはこの道路を横断しているところで、それは真横のアングルでなければならない。

私は一人で来ていたので、自分の写真を撮るのは断念していたが、親切に教えてくれた礼でもしようと思って、二人組の女性に写真を撮りましょうかと声をかけた。だが、教えてくれた方は別にビートルズのファンではなく、友人に付き合って来たのだと申し訳なさそうに断られた。それよりあなたの写真を撮ってあげる、とまた親切に言ってくれたので、お言葉に甘えて撮ってもらうことにした。

次の目的地は、昨日行けなかったナショナルギャラリーだ。赤バスに乗ろうと歩き出すと、男性がすっと寄ってきて、一枚のチラシをくれた。この近くにビートルズのファンショップがあるのだという。せっかくここまで来たのだからと、覗いて帰ることにした。実際にはあまり近くなかったのだが、人に道を訪ねながらなんとかたどり着き、店内で久しぶりにビートルズの曲を聞かせてもらった。

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そして再び、ショッピング街であるオックスフォード・サーカス駅へ。ここは東京の渋谷をモデルにスクランブル交差点を導入したという話がある。

オックスフォード・サーカスにしろピカデリー・サーカスにしろ、何故サーカスという名称なのかが気になって調べてみたが、特に面白い逸話があるわけでもなく、単に通りにある円形の空き地といった意味で使われているだけだった。

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ウェストミンスターにあるトラファルガー広場の先には、ナショナルギャラリーがある。ロンドンで一番好きな美術館・博物館を答えろと言われれば、私はここを挙げたい。

内装はデンマークのニュー・カールスベア、展示品はニュルンベルク、絵画はナショナルギャラリーがそれぞれ一番だ。

ナショナルギャラリーでは撮影禁止だったので、今ではもうどの絵画を気に入ったのか忘れてしまったのだが、覗き絵のことはよく覚えている。

箱の中に絵画のコピーを貼り付けて、小さなレンズから中を覗く。すると、平面的に見ていた作品を、立体的に感じることができる。

京都で見つけた気に入りの本、巌谷國士(2005)『スコープ少年の不思議な旅』パロル舎を思い出した。

小さな箱だが、レンズ越しでは見えない部分もある。それが、箱の中の風景に奥行を持たせて、見えない部分を知りたいと思う気持ちを引き起こす。小さいけれど、自分以外見る者のいない、完全な無人状態。その先に何かファンタジーな物語が待っていそうで、不思議な気分になった。まさに、空想の不思議な旅だ。

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禁止されている場所もあるが、撮影出来る場所もある。ここに椅子があったので、しばらく休憩してから、ショップでいくつかお土産を購入し、バスでタワー・オブ・ロンドン、ロンドン塔へと向かった。
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by white12211122 | 2015-03-07 02:39 | ドイツ留学の思い出

by みっこ