マグリット展
6月のはじめ、新国立美術館にマグリット展を観に行ってきました。
「貴婦人と一角獣」から「チューリヒ美術館展」と続いて、新国立美術館も今回で三回目です。去年までは三菱一号館美術館の方が好きだったのですが、今は(私の中で)こちらの方がホットな感じ。
マグリットの絵は「芸術作品として描かれた」というより、複雑な思考、斬新すぎる発想を「絵という手段で表した」という印象を抱かせます。絵を観て、彼の脳内の一部を覗く、あるいは思考の流れを感じる(それを心理学的に分析するのも面白そうではありますが、なんとなく無粋のような気もします)。
かといって、ただ観たままを受け取るだけでは、彼の絵に一種の不気味さを感じたまま通りすぎてしまいそうになる。
絵の裏側にある思考の流れ、存在を直感的に感じ取って、彼の脳内に広がっているであろう世界の「自由さ」に驚く。
体感型の展覧会だな、と思いました。触れられないのに、科学館にいるような気分になりました。
「だまし絵〈トロンプ=ルイユ〉」は目の錯覚というより、本物そっくりに描いて<騙す>ものだと私は思っているので、マグリットの絵はだまし絵なのかな、と疑問がかすめましたが、美術館巡りはあくまで趣味、学術的な専門知識は一切ないので、今度誰かに聞いてみようと思います。
それにしても、マグリットの描く青空って、どうしてあんなに綺麗なんでしょう。ファンタジー(虚構)の世界なのに、透き通っていて、吸い込まれそうになるほどの存在感を放っています。
いつものように画集と気に入った絵葉書を買って帰りました。次は国立新美術館でシャガールかキリコの展覧会をやって欲しいと思うのですが、何年後でしょう。