ドイツ留学~ドイツで迎えた誕生日~
オランダ旅行の翌日、四月二十二日は私の二十三回目の誕生日であり、語学学校の最終週だった。
友人たちから誕生日を祝ってもらい、同じクラスの友人や先生、たまたま同じ誕生日だった韓国人の友人と、記念写真を撮った。アゼルバイジャンの友人ゾナは、アゼルバイジャンのマグネットをくれて、頬にキスしてくれた。
チロは私がナポリに行けなくて落ち込んでいたのを覚えていたようで、ナポリのマグネットをくれた。
その日の夜は、姉さんやSさんといった日本人の友人たちが誕生日パーティーを開いてくれた。今まで一対一の付き合いが多かったため、こんな風に大人数に誕生日を祝われるのは初めてのことだった。
誕生日の次の日は、同じ誕生日のドイツ人マルクスが、合同誕生日パーティーなるものを開いてくれた。
そこで私は、自分のノートにメッセージを書いてもらった。
まだフライブルクに来たばかりの頃、旧市街を散策していた時に見つけて買ったものだ。絵柄がかわいくて、手触りも良かった。これでのんびりスケッチでもしようと思ったのだが、結局は使わないまましまいこんでいたのを、メッセージブックとして活用することにしたのだ。
ドイツ人や日本人だけでなく、色んな国の友人がここにメッセージを残してくれた。語学学校の先生、よく行くバーのママさんにも書いてもらい、そのノートは私の宝物になった。
私の留学の目的の一つ、「異国でゼロからどこまで人間関係を築いていけるか」に対する答えが、このノートに詰まっていた。
去年の夏、留学に行く直前のことを思い出した。
教育実習で生徒さんからもらった寄せ書きノート。
部活のメンバーがくれたプレゼントと寄せ書き。
十年来の親友がくれたアルバム。
恋人から贈られた指輪。
気づけば、心のどこかでずっと欲しがっていたものが、手に入っていた。
南ドイツ一週間一人旅から帰ってきたら、最後のお別れパーティーがある。泣いてしまわないかどうかが、心配だった。