auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。

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ドイツ一週間一人旅⑫~ベルリン(6)森鴎外記念館~

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カフェで穏やかな時間を堪能したが、そう長くは滞在しなかった。

次に向かったのは、森鴎外記念館。フンボルト大学の日本学科が管理を行っており、鴎外が一年以上過ごした下宿を再現している。

私がベルリンを訪れる前の年、つまり2012年の二月には、鴎外生誕百五十周年ということで、フンボルト大学主催の式典が行われたという。

そこそこ大きな建物に、大きな漢字で「鴎外」と書かれているため、すぐにわかった。

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直筆の書簡など、鴎外ゆかりの品々や、『舞姫』の映画パネルなども展示されている。

この鴎外記念館では、鴎外の関連書籍の他に、日本語とドイツ語訳の両方を載せた多彩な小説が販売されていた。一冊二~三ユーロほどで、私はさくらももこや村上春樹など、数冊購入した。この博物館は支援で成り立っているというから、僅かながらに貢献しようと思ったのだが、日本から来たドイツ文学科の学生ということで割引してもらってしまい、逆に気遣われることとなった。

管理をしている女性と少し話して、五十分ほどで記念館を立ち去った。


森鴎外の作品では、実は『舞姫』よりも、『普請中』のほうが気になっていた。主人公が何十年ぶりかに再会した、あの女性は誰なのか。〈エリス〉なのか、それとも〈エリスに似せた誰か〉なのか。

鴎外が『普請中』を書いたのは、エリスとの別れから二十年以上後のこと。鴎外は愛情深い人であったというから、心の一部は生涯〈エリス〉を愛し続けたのだと思うーーそうであって欲しいと思う。

私はエゴイストだから、もし愛しい人と別れてしまうようなことがあれば、相手には生涯引きずり続けてほしい。時間を重ねて記憶が風化してしまったとしても、一度抱いた想いは〈本物〉なのだから、消さずに残すことによって、軽い気持ちではなかったのだと証明し続けてもらいたい。

自分の思う正しさの為に愛を捨てた、ロマンチストの側面を持つ冷徹な人。私は鴎外に、そんな印象を抱いている。ドイツから追いかけてきた恋人と会わずに破局してしまったから、人生を振り返る歳になって、作品のなかでは、やはり愛を選ばずとも、会うことだけは実現させたかったのではないか。

文豪の愛は、想像力をかきたてられる。美しくて切ないのは、終わってしまった恋だからなのだろうか。


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by white12211122 | 2015-07-18 01:04 | ドイツ留学の思い出 | Comments(0)