auf der Reise~旅の空~

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作家を目指す院生です。ドイツ留学時代の日記を中心に更新していましたが、院試(転科)→就活などのドタバタ挑戦ブログだったり、お出かけブログだったりと、割りと何でもアリで色々やっています。美術館めぐりも少々。

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アルバイトのこと


あんまり塾講について書いてこなかったけれど、たまにはアルバイトの話も。

私は学部生時代から塾講をやっています。留学で中断しましたが、二年くらいになるでしょうか。今は小学生の受験国語をメインに担当しています。

一人っ子で、大学に入るまで上級生とも下級生とも関わりがなかった私にとって、小学生というのは未知の生き物でした。時々うるさい小学生に遭遇しては、「たぶん自分は子ども嫌いなんだろうなー」と思うくらい。

でも、得意教科の国語を説明するのは好き。それで中高の国語教師を小学六年生の頃から目指していたわけですが(教育学部ではなく、私学の文学部で教職の単位を取ろう、と思ったので、小学生のくせに中高の私立の教師、と決めていたわけです)、実際に小学生の集団授業を担当してみたら、もう生徒が可愛くて仕方ない、という状態に。

すれてる生徒、生意気言って、教師が怒るのをからかいたいという生徒も多いんですけど…なんていったって、小学生って純粋なんです。真面目に向き合えば、期待に応えようと頑張ってくれる。

とあるクラスを担当したとき、小テストの漢字がほぼ全員、百点中二十点代だった。読解どころの話じゃないし、そもそもじっと座っていられない。読解法を論理的に解説するのが得意な私にとってはまさに未知との遭遇。男の子ばかりのクラスで、「どうせできない」という発言が印象的だった。

そこで一言。

「このクラスではムリとか出来ないって言葉は言わせない」

マイナスな発言が多ければマイナスな結果しか生まない。ハッタリでもプラスな発言が増えれば、物事は向上する。

それと、「言ったらヘッドロックかける」と言うセリフも追加。先生少林寺やってたから強いんだぞと(強くはないんですけど)、実は黒帯持ってるんだぞ、と言うと、男の子ばかりのクラスなので、「うおーこええ! やばい先生だ!」と言いながら、反面すごく目を輝かせるんですよね。あ、もちろんヘッドロックなんてかけませんが。やったこともないし。

それでまあ冗談はそこまでで、一人一人聞いていったんですよ。これは君が本気を出して取った点数かって。もちろん、全員、違うと答える。

「それじゃあ本気を出したら何点取れると思う?」

こう聞くと、合格点以上を答えてくれる。

出来ない生徒なんていない。やりたくないからやらないだけ。そんな生徒に、ただ「やれ」と言うだけじゃ、教師のスキルもなにもない。誰にだって言えるし、全く意味がない。

「出来ないって思ってたことが出来たら、かっこよくない?」

うん、とぎこちない頷き。私は心の中でガッツポーズ。生徒にとってはイヤなことなんだから、納得して自主的にやるのでなければ、実力は伸びない。そもそも、彼らは「賢い」から、納得できないことはやりたくないし、やらない。だから、納得させることが重要なんです。

もちろん、急に合格点を取るのは難しい。でも、次の回では全員が前回よりも数十点あがっていた。

合格点より遠くても、「あがったじゃん!」って笑いかける。宿題を全くやってこなかった生徒が少しだけでもやってきたら、「今日はちょっと出来たじゃん。あともう少しやったら半分やったことになるのに、もったいないなー」って仄めかす。出来たことを、その生徒の基準で認めること。

やったぶんだけ認める。普段は無表情な私が笑うと(内心は生徒に萌えているんですけど)、ちょっと嬉しいらしい。

「出来ないことなんてない。君らはなんだって出来る。やる気さえあれば」

自分に自信をつけさせられるのは、自分だけ。

教訓めいた話を語るのは好きではないから、あくまでも会話のなかではっぱをかける。「だってさあ、そう思わない?」って、ラフな感じで手短に。

それから最後に、クラス全員で自分の目標点に到達できるかゲームをしよう、と持ちかけた。

もともと、とても素直で優しい子がそろっていたこともあって、誰かを馬鹿にすることもなく、もう少しじゃん、頑張ろうぜ、と何人かが励まし始めて、最終的には全員が九十点以上は当たり前、満点も続出、宿題も完璧という状態になった。授業も集中すべきところでは集中して。一番うるさかった生徒が、「おい、静かにしろよ」って発言したときの感動。

初めて全員が合格点を取ったとき、「先生、みんな合格点だったよ!」と達成感に満ちた笑顔を見て、うっかり目頭が熱くなりました。バイトですから、本当の先生じゃないんです。生徒との関わりなんて初めてで、経験値なんてほとんどゼロに近い。だから、ちょっとのことで歓喜する。熱血漢みたいに、信頼関係がなければ始まらないんだ、なんてことを、本気で思う。

塾は営利主義の場所ですが、人と関わる場所である限り、こういう熱い想いだって生まれる。たかだかアルバイトで教育を語ろうなんて思い上がったことはできませんが、たまには熱く語りたくもなるんです。青臭い学生だからこそ、理想を持てる。それは、強みでもあると思うんですよね。理想を語れなくなったら、そこでなにかが終わってしまうから。



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by white12211122 | 2015-09-18 00:17 | Comments(0)