北鎌倉散策
梅が咲き始めた二月の始めに、母と二人で北鎌倉へ一泊二日の旅行に行ってきました。
北鎌倉駅で降りて、まずは昼食を。その後、駅のすぐ近くにある円覚寺を訪れました。漱石や藤村といった文豪が訪れたことでも有名なお寺です。
門前の階段で人懐っこい猫に遊んでもらってから、次は葉祥明美術館に足を運びました。
この方の描く淡いパステルカラーが好きで、ポストカード数枚とアートグラフを一枚、絵本を一冊買って帰りました。館内ではソファーに座って絵本が読めるので、気に入りの一冊を見つけられます。
明月院と言えば紫陽花ですが、この時は梅が盛りでした。大学が春休み期間の二月はいつも家に引きこもっていたので、この時期に花をじっくりと見たのは初めてかもしれません。
別名「春告草」とも呼ばれるこの花、日本のものだと思っていましたが、万葉の頃に中国から渡来したものだったんですね。しかも、最初は薬として遣唐使に持ち帰られたものだとか(『恋する万葉植物』伊東ひとみ(光村推古書院)より。植物に疎いので重宝しています。全然覚えませんが……)。
お茶室を出るとき、ふと、神社にしてはやけに目立つ赤い椅子が目に入りました。じっと見ていると、怒った顔のように見えます。私が立ち止まって凝視していたものですから、お店の方が「それは岡本太郎さんの「座ることを拒否する椅子」ですよ」と教えてくださいました。ちょうど修論の指導をしてくださっている先生が岡本太郎について本を書かれていて、私自身も美術館学研究のレポートのために去年万博を訪れていたため、妙に親近感がわきました(太陽の塔のガチャポンを五回くらい回したので、家に岡本太郎のフィギュアがあります)。ちょっとした収穫です。
北鎌倉の雰囲気と海辺のホテルをたっぷり堪能した一日でした。
ところで、旅先ではいつも創作意欲がわくのですが、特定の土地を舞台にした作品を書きたいと思いつつ、未だに一度も書けたことがありません。もどかしい思いでプロットだけ作ってみましたが、どうもしっくりきません。その日は海の生き物も寝静まる真夜中になってようやく、眠りにつきました。
江ノ電途中下車の旅へ続く